位置情報データが描く未来:LBMA Japanが挑む未来とスマートシティ実装
#2「スマートシティを動かすデジタルインフラとしての位置情報」
川島 邦之/一般社団法人LBMA Japan 代表理事
2025/02/03
スマートシティは、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、AI(人工知能)などの先端技術を活用して、都市が抱える課題を解決し、持続可能な未来を実現する取り組みだ。LBMA Japanでは位置情報データが、スマートシティを実際に継続的に駆動させていくためのデジタルインフラになる、と考えている。人や車両の移動、エネルギーの消費、災害時の避難経路など、都市の動きをリアルタイムで把握するために、このデータが欠かせない。
位置情報データのスマートシティ実装:未来都市への第一歩
スマートシティは、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、AI(人工知能)などの先端技術を活用して、都市が抱える課題を解決し、持続可能な未来を実現する取り組みだ。LBMA Japanでは位置情報データが、スマートシティを実際に継続的に駆動させていくためのデジタルインフラになる、と考えている。人や車両の移動、エネルギーの消費、災害時の避難経路など、都市の動きをリアルタイムで把握するために、このデータが欠かせない。
位置情報データがもたらす具体的な効果
●交通インフラの最適化
スマートシティの交通管理では、バスや電車の運行データと人流データを組み合わせることで、混雑を緩和し、利用者に最適なルートの提供が可能となる。また、現在では交通渋滞をリアルタイムで把握し、信号制御を最適化する取り組みも進んでいる。
【具体例】
①スマートバスシステム
日本のいくつかの地域や、世界各地では、位置情報データを活用した「スマートバス」プロジェクトが実施されている。この取り組みでは、バスの位置情報や利用者のデータをリアルタイムで収集することで、効率的な運行計画を立てている。バスが現在どこを走行しているかをスマートフォンアプリで確認可能。利用者が集中する地域や時間帯を分析し、必要に応じて臨時便を配車。混雑が予想される路線には大型バスを投入するなど、柔軟な対応を実現。この結果、待ち時間の短縮や混雑緩和が実現し、市民の公共交通の利用が促進された。
②渋滞緩和のための信号制御(シンガポール)(※1)
シンガポールでは、交通渋滞を緩和するために「スマートトラフィックライトシステム」が導入されている。このシステムでは、道路に設置されたセンサーやカメラからのデータに加え、車両の位置情報データを活用することで、車両の平均移動時間が最大25%短縮されています。リアルタイムで道路の交通量を把握し、信号の切り替え時間を動的に調整。混雑が発生しそうな交差点では、事前に警告を発し、代替ルートを案内。事故や道路工事が発生した場合、自動的に迂回ルートを設計して提供。
③地域交通のオンデマンド化(※2)
人口減少地域である北海道上士幌町では、バス路線の運行コスト削減と地域住民の利便性向上を目的に、位置情報を活用した「デマンドバス」が導入されている。
④自動車ルート最適化(アメリカ・ロサンゼルス)(※3)
ロサンゼルスでは、位置情報データを基にしたルート最適化システムが運用されている。このシステムでは、都市全体の車両移動データを収集し、ドライバーに最適なルートを提案。長年の課題である市中心部の渋滞時間の大幅な短縮が期待され、CO2排出量削減にも寄与している。
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※2
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※3
●防災・減災対策
地震や洪水などの災害時には、避難者の位置情報をリアルタイムで把握し、安全な避難ルートを提供することが可能となる。過去の災害データと位置情報を組み合わせることで、災害リスクの高いエリアを特定し、事前の防災計画に活用する動きも広がっている。
【具体例】
①リアルタイム避難支援システム(東京都渋谷区)(※4)
東京都渋谷区では、災害時に住民の避難を支援するための「リアルタイム避難支援システム」が導入されている。位置情報データを活用し、避難者の現在地や周囲の混雑状況をリアルタイムで把握するシステムで、安全な避難経路の提供が可能となる。避難者がスマートフォンアプリで自分の位置を登録することで、最適な避難ルートが表示される。避難所の混雑状況がリアルタイムで更新、混雑していない場所への誘導が可能。エリアごとの危険度(洪水や火災のリスク)をマップ上で可視化。
②津波避難支援システム(宮城県石巻市)(※5)
宮城県石巻市では、東日本大震災の教訓を活かし、津波から迅速に避難するための支援システムを構築している。GPSと位置情報データを活用し、住民に即時の避難指示を出すことが可能となっている。津波警報が発令されると、スマホやデジタルサイネージに避難経路を表示。住民の位置情報をもとに、近くの避難所までの距離や到達時間を計算し、案内。避難者の移動データを分析し、次回の災害時に備え、避難計画を改善。
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※4
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※5
●エネルギー効率化
都市全体のエネルギー消費を可視化し、効率的な配分を行うことができる。さらに、再生可能エネルギーの利用を推進するためのデータ基盤としても、位置情報データが活用されている。
オフィス、工場などにおける、電気・エアコンの自動制御(人の出入りに反応する、人数カウントに伴う)などは、様々な企業での導入が進んでいる。
●観光と地域活性化
観光客の移動データを活用し、混雑を避ける新しいルートの提案や、地域ごとの観光施策の立案が可能となる。これにより、観光地の負担軽減と地域経済の活性化を両立できる。
【具体例】
①湘南エリアの交通混雑緩和(※6)
神奈川県の湘南エリアでは、世界中で人気のアニメの聖地巡礼などに伴い、観光客の集中による道路混雑が課題となっていた。そこで、ソフトバンク株式会社の人流データを活用し、観光客の移動パターンを分析することで、交通インフラの最適化や混雑緩和策が検討されている。
②温泉施設での混雑度可視化
ある温泉旅館では、IoT技術を活用して大浴場の混雑状況をリアルタイムで把握し、宿泊客に提供している。これにより、利用者は混雑を避けて快適に入浴できる時間を選択でき、顧客満足度の向上につながった。
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※6
LBMA Japanが挑むGX(グリーントランスフォーメーション)
LBMA Japanが策定した「Location-GXガイドライン」では、移動に伴うCO2排出量の可視化と削減を目的に、データを活用した持続可能な都市運営のモデルを提示している。これにより、スマートシティが「環境負荷の軽減」と「経済成長」を両立する仕組みを実現する。
また、このプロジェクトの一環として、2024年5月に『Location-GXガイドライン』を発行。このガイドラインは、移動に伴うCO2排出量の可視化と削減を目的としており、位置情報データを活用したサービスやビジネスの展開を推進するものだ。
環境省が主導する脱炭素行動の国民運動「デコ活」に採択を受け、移動における脱炭素推進の仕組みをビジネス化することで、企業の継続的な取り組みを支援している。具体的には、ガイドラインにて定義する共通指標で算出された削減値を「L-GXポイント」として定義し、将来的にはこのポイントをカーボンオフセットとして取引可能なクレジットとするスキームの構築を目指している。
おわりに
位置情報データのスマートシティ実装は、効率的で安全、そして持続可能な未来都市を形作るための第一歩だ。都市の課題に対してデータを活用した解決策を提供するこの取り組みは、住民の生活を豊かにし、環境に優しい都市運営を可能にする。その中で、テクノロジーやデータはあくまでそれを実現するためのツールであり、きっかけであると考えている。ただし、テクノロジー、データ活用にはどうしてもコストが伴う。持続的にスマートシティ運営を継続していくためには、必ずマネタイズの仕組みが必要になっていく。
「共創—1社では実現しえないイノベーションを共に創る」。この言葉には、LBMA Japanの目指す未来を詰め込んでいる。加盟企業同士が協力し、新たな価値を生み出すことで、位置情報データの可能性を最大限に引き出し、社会課題の解決に貢献する。この過程で、参加企業が収益を上げられる仕組みを確立し、持続可能な活動を実現する。一方で「実現すること」には困難が伴う。本団体の使命は、協議・協力を検討する場を作ることで、実現・継続にベクトルを向けていくことであると考えている。
是非SCIJ様、及びSCIJ会員企業の方々とも連携を取り、新たなイノベーションを共に創っていければと考えております。
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一般社団法人LBMA Japan 代表理事 川島 邦之
一般社団法人LBMA Japan 代表理事。東京都出身。米ニューヨーク州立大学Plattsburgh校卒。米ヒューストン・シリコンバレーでのモバイル関連の営業・インキュベーション事業を経て、日本にてモバイル関連のベンチャー領域に於いて事業開発に従事。